2026年1月、埼玉県八潮市の不動産会社が、同年4月から予定されていたSUUMOの広告掲載料金改定について、自社では約1.5倍の負担増になる見込みだと公表しました。
ただし、この「約1.5倍」は同社の契約内容に基づく個別事例です。
SUUMOには、賃貸、売買、新築分譲、注文住宅など複数の広告商品があり、掲載枠やオプション、契約期間によって料金が異なると考えられます。一般向けの公式ページでは統一された料金表や、一律の改定率は確認できません。
そのため、すべての工務店・住宅会社の掲載費が同じ割合で上がったと判断することはできません。
一方で、媒体費が上昇するたびに「掲載を続けるか、やめるか」だけを議論するのも適切ではありません。
重要なのは、反響数だけでなく、接続、来場、商談、成約、粗利まで追跡し、媒体が最終的にどれだけ利益へ貢献したかを確認することです。
この記事では、SUUMOなどのポータルサイトを活用している工務店・住宅会社が、広告費の上昇にどう向き合い、既存の反響を来場・成約へつなげるべきかを解説します。
この記事の結論
- 「約1.5倍」は一社が公表した個別事例であり、業界全体に共通する値上げ率ではありません。
- 掲載継続の判断は、反響単価だけでなく、来場単価、成約単価、帰属粗利まで確認して行います。
- ポータルサイトは新規反響の獲得手段として活用し、自社サイト、SEO、SNS、LINE、紹介と組み合わせます。
- 広告費を削る前に、初動の遅れ、追客漏れ、来場前キャンセルなどの歩留まりを改善します。
- CRMへ流入元、対応履歴、来場、成約、粗利を集約し、同じ基準で媒体を評価することが重要です。
1.SUUMOの料金改定が注目される背景
約1.5倍は一社の個別事例
三共コスモス株式会社は、2026年1月23日付の記事で、4月から予定されていたSUUMOの広告掲載料金改定により、自社では約1.5倍の負担増を見込んでいると説明しました。
同社は、料金改定を受けて掲載枠数を減らす会社や、SUUMOの利用を停止する会社が出てくる可能性にも言及しています。
ただし、この記事は八潮エリアで売買物件を扱う不動産会社の見解です。
注文住宅領域を含むすべての契約へ、そのまま同じ改定率を当てはめることはできません。
工務店・住宅会社が確認すべきなのは、報道や他社事例の値上げ率ではなく、自社へ提示された契約条件です。
具体的には、次の項目を確認します。
- 改定前後の基本料金
- 掲載枠数に応じた料金
- 資料請求や送客に伴う料金
- 有料オプションの料金
- 契約期間
- 解約やプラン変更の条件
- 掲載対象となる店舗、商品、施工エリア
- 取得できる顧客情報
- CRMや自社システムへの連携方法
料金改定の影響は、「月額費用がいくら増えたか」だけでなく、「一件の来場や成約を獲得する費用がどう変わったか」で確認する必要があります。
住宅市場の縮小で広告効率が重要になる
野村総合研究所が2026年6月に公表した予測では、新設住宅着工戸数は2030年度に80万戸、2040年度に61万戸になると見込まれています。
持家については、2025年度の20万戸から、2040年度には14万戸へ減少する予測です。
将来予測には不確実性がありますが、人口や世帯数の変化、住宅価格の上昇、金利上昇などを踏まえると、工務店・住宅会社が限られた見込み客を獲得する競争は続くと考えられます。
市場が縮小する局面では、新しい反響を増やし続けるだけでは広告費が膨らみます。
必要になるのは、次の二つを同時に進めることです。
- ポータル、自社サイト、広告、SNS、紹介などへ集客経路を分散する
- 一度獲得した顧客を継続的に追客し、来場や商談へつなげる
ポータルサイトを直ちにやめるのではなく、依存度と採算を確認しながら、利用方法を見直すことが重要です。
反響が成約につながらない原因は媒体だけではない
ポータル経由の資料請求には、情報収集段階の顧客や、複数の住宅会社を比較している顧客も含まれます。
そのため、反響後に電話を一度かけるだけでは接続できないことがあります。
成果が出ない原因は、媒体の品質だけとは限りません。
- 反響後の初回対応が遅い
- 夜間や休日の反響を翌営業日まで放置している
- 電話に出なかった顧客への次回対応が設定されていない
- 希望地域、予算、土地の有無を取得できていない
- 資料請求後も全員へ同じ内容を送っている
- 自動配信と営業担当者の連絡が重複している
- 来場予約後の確認やリマインドが不足している
- 流入元と成約・粗利が別々に管理されている
営業担当者の能力だけで判断せず、流入品質、初動時間、担当件数、商品価格、商圏、競合状況、提案内容、顧客との相性を分けて分析する必要があります。
2.最初に確認するKPI
掲載プランを見直すときは、反響単価だけで判断しないことが重要です。
安く反響を獲得できても、接続、来場、商談、成約につながらなければ、経営上の成果にはなりません。
反対に、反響単価が高い媒体でも、自社の商品や商圏に合う顧客が多く、成約率や粗利が高ければ、掲載を継続する価値があります。
反響単価
反響単価は、新しい顧客情報を1件獲得するためにかかった広告費です。
計算式は「広告費÷反響数」です。
例えば、広告費100万円で50件の反響を獲得した場合、反響単価は2万円です。
資料請求、来場予約、電話問い合わせでは顧客の検討度が異なります。媒体を比較するときは、何を1件の反響として数えるかを統一してください。
平均初動時間
平均初動時間は、反響が届いてから営業担当者が最初に対応するまでの時間です。
計算式は「初回対応までにかかった時間の合計÷対象反響数」です。
自動返信を送った時刻と、営業担当者が電話や個別メールを送った時刻は分けて記録します。
平均値だけでは、一部の長時間放置が見えにくくなります。
「30分以内」「1時間以内」「当日中」「翌日以降」など、時間帯別の件数も確認すると、夜間や休日の対応漏れを把握しやすくなります。
初回対応率
初回対応率は、獲得した反響のうち、定めた期限内に初回対応を行えた割合です。
計算式は「期限内に初回対応した反響数÷全反響数×100」です。
担当者が決まっていない反響や、対応履歴が入力されていない反響も未対応として確認できる状態が必要です。
接続率
接続率は、反響があった顧客のうち、電話、メール、SMS、LINEなどで実際に会話や返信が発生した割合です。
計算式は「接続できた顧客数÷反響数×100」です。
自動返信メールを送っただけの状態は、接続に含めません。
電話で会話できた、メールへの返信があった、LINEで回答があったなど、双方向のやり取りが発生した状態を接続として定義します。
来場予約率
来場予約率は、反響があった顧客のうち、展示場、モデルハウス、完成見学会、店舗、オンライン相談などの予約に進んだ割合です。
計算式は「来場予約数÷反響数×100」です。
予約率が低い場合は、来場を依頼するタイミング、予約可能な日時、相談できる内容、来場するメリットが顧客へ伝わっているかを確認します。
予約からの来場率
予約からの来場率は、予約した顧客のうち、実際に来場またはオンライン面談へ参加した割合です。
計算式は「実来場数÷来場予約数×100」です。
予約数が多くても、キャンセルや無断欠席が多ければ商談は増えません。
予約直後の確認、前日・当日のリマインド、場所や駐車場の案内、相談内容の事前確認ができているかを確認します。
反響からの来場率
反響からの来場率は、獲得した反響のうち、最終的に実来場へつながった割合です。
計算式は「実来場数÷反響数×100」です。
この指標には、反響の品質だけでなく、初動、接続、追客、予約、来場前フォローの成果が反映されます。
来場単価
来場単価は、実際に会えた顧客を1組獲得するためにかかった広告費です。
計算式は「広告費÷実来場数」です。
例えば、広告費100万円で10組が来場した場合、来場単価は10万円です。
経営判断では、反響単価よりも来場単価の方が、媒体と追客を合わせた成果を把握しやすくなります。
来場からの提案率
来場からの提案率は、来場した顧客のうち、プラン、資金計画、土地情報、見積もりなどの具体的な提案へ進んだ割合です。
計算式は「提案へ進んだ顧客数÷実来場数×100」です。
提案率が低い場合は、顧客の検討時期、予算、土地の有無、希望条件を初回来場時に確認できているかを見直します。
提案からの申込率
提案からの申込率は、具体的な提案を行った顧客のうち、設計申込や購入申込へ進んだ割合です。
計算式は「申込数÷提案数×100」です。
申込率が低い場合は、競合状況、価格、商品力、提案内容、資金計画、担当者との相性などを分けて分析します。
来場からの成約率
来場からの成約率は、実際に来場した顧客のうち、契約に至った割合です。
計算式は「成約数÷実来場数×100」です。
この指標は、営業担当者の商談力だけで決まるものではありません。
顧客の検討度、予算と商品の適合性、土地の有無、競合会社、提案内容、商圏なども影響します。
反響からの成約率
反響からの成約率は、獲得した反響のうち、最終的に成約した割合です。
計算式は「成約数÷反響数×100」です。
ポータルサイト、自社サイト、Web広告、SNS、紹介など、流入元ごとの最終成果を比較するために使用します。
成約単価
成約単価は、1件の成約を獲得するためにかかった広告費です。
計算式は「広告費÷成約数」です。
反響単価が上昇していても、来場率や成約率が改善し、成約単価が許容範囲に収まっていれば、媒体を継続する合理性があります。
粗利ベースのマーケティング投資効果
粗利ベースのマーケティング投資効果は、その媒体から得られた粗利に対して、広告費がどの程度の成果を生んだかを確認する指標です。
計算式は「(帰属粗利-マーケティング費用)÷マーケティング費用×100」です。
契約金額だけで判断すると、値引きや商品ごとの原価差が反映されません。
媒体、商品、店舗、担当者ごとに粗利まで確認することで、反響数ではなく利益を基準に広告配分を判断できます。
KPIは複数の切り口で確認する
これらのKPIは、会社全体の平均だけで判断しないことが重要です。
次の切り口に分けて確認します。
- 媒体
- キャンペーン
- 店舗
- 商品
- 営業担当者
- 商圏
- 反響月
- 来場月
- 成約月
注文住宅では、最初の反響から契約まで数か月以上かかることがあります。
反響日、初回対応日、来場日、提案日、申込日、契約日を同じ顧客IDで記録し、反響から成約まで追跡できる状態をつくる必要があります。
3.改善前後の計算例
以下は実績ではなく、改善効果を確認するためのシミュレーションです。
改善前
広告費は100万円、反響数は50件、実来場数は10件、成約数は1件とします。
この場合、反響単価は2万円です。
来場単価は「100万円÷10件」で10万円です。
成約単価は「100万円÷1件」で100万円です。
反響からの来場率は「10件÷50件×100」で20%です。
来場からの成約率は「1件÷10件×100」で10%です。
反響からの成約率は「1件÷50件×100」で2%です。
改善後
広告費と反響数は増やさず、初動、追客、来場前フォローを改善した結果、実来場数が15件、成約数が2件になったと仮定します。
反響単価は2万円のままです。
来場単価は「100万円÷15件」で約6.7万円まで下がります。
成約単価は「100万円÷2件」で50万円まで下がります。
反響からの来場率は30%です。
来場からの成約率は約13.3%です。
反響からの成約率は4%です。
粗利への影響
一棟当たりの粗利を500万円とし、成約をすべて当該広告へ帰属させる単純なシミュレーションで比較します。
改善前の帰属粗利は500万円です。
粗利ベースのマーケティング投資効果は、「(500万円-100万円)÷100万円×100」で400%です。
改善後の帰属粗利は1,000万円です。
粗利ベースのマーケティング投資効果は、「(1,000万円-100万円)÷100万円×100」で900%です。
実際には、人件費、販促費、紹介料、値引き、原価、契約解除なども考慮する必要があります。
それでも、反響数を増やさずに来場率と成約率を改善する方が、広告費の削減だけより利益へ与える影響が大きい場合があります。
4.ポータルサイトの費用対効果を改善する方法
媒体別の採算を比較する
媒体ごとに、次の数字を同じ期間、同じ定義で集計します。
- 広告費
- 反響数
- 有効反響数
- 接続数
- 来場予約数
- 実来場数
- 提案数
- 申込数
- 成約数
- 契約金額
- 値引額
- 粗利額
「資料請求が多い媒体」と「利益を生んでいる媒体」は、必ずしも同じではありません。
反響単価が高くても、土地、予算、希望エリアなどの条件が自社商品と合い、成約率と粗利が高ければ、継続する合理性があります。
反対に、反響単価が低くても、商圏外や予算不一致が多く、営業工数だけが増えている場合は、掲載内容や契約プランの見直しが必要です。
掲載停止より先に枠と内容を見直す
掲載費が上がった場合でも、すぐにすべての掲載を停止する必要はありません。
まず、反響、来場、成約が少ない店舗や商品を特定します。
次に、商圏外や予算不一致の反響が多い掲載内容を修正します。
対応エリア、価格帯、住宅性能、得意なデザイン、土地探しの対応範囲などを具体的に掲載し、自社と合わない顧客からの問い合わせを減らします。
そのうえで、成約につながっていない有料オプションや掲載枠を整理し、採算の高い商品や商圏へ予算を寄せます。
枠を減らした後は、反響数だけでなく、来場数、成約数、成約単価、粗利がどう変化したかを確認してください。
初動を標準化する
反響直後は、営業担当者が不在でも受付連絡が届く状態をつくります。
自動受付では、資料を送るだけでなく、顧客が次に取れる行動を一つ提示します。
例えば、完成見学会の予約、オンライン相談、土地探し相談、資金計画相談、施工事例の閲覧、LINEでの希望条件入力などです。
ただし、自動返信だけで成約するわけではありません。
営業担当者が個別連絡を行う期限を決め、未対応や期限超過を管理者が確認できる状態にします。
接続できない顧客を放置しない
電話へ出なかった顧客を、すぐに「見込みなし」と判断すると、ポータルへ投じた広告費を回収できません。
顧客の検討時期に応じて、追客内容を分けます。
3か月以内に建築会社を決めたい顧客には、見学会、土地情報、資金相談など具体的な提案を行います。
半年以内に検討している顧客には、商品比較、建築費、住宅性能、施工事例などを案内します。
時期が決まっていない顧客には、自動追客で接点を維持し、反応があったときに営業担当者へ通知します。
予約済みの顧客には、日時、場所、駐車場、持ち物、相談内容を案内します。
成約済み、他社決定、配信停止、対象外となった顧客は、自動追客の対象から外します。
休眠顧客を再活性化する
過去に資料請求したものの来場しなかった顧客や、商談後に検討時期が延びた顧客も、会社が費用をかけて獲得した顧客資産です。
新しい見学会、土地情報、住宅ローン金利、補助制度、商品改定など、再検討のきっかけになる情報を案内します。
一斉に同じ内容を送るのではなく、希望地域、土地の有無、予算、建築時期、関心のある商品などに応じて対象を分けます。
メール開封だけで高確度と判断せず、リンクのクリック、資料の閲覧、返信、予約、サイトへの再訪など、複数の行動を確認します。
5.マーケティングと営業をつなぐ方法
マーケティング部門が反響数、営業部門が契約数だけを管理すると、その間で発生している損失が見えません。
次の営業プロセスを、共通の顧客IDで記録します。
反響から初回対応へ進み、接続、来場予約、実来場、提案・見積、申込、成約、引き渡し、OB顧客化まで追跡します。
経営者は、媒体別の成約単価、粗利、依存度、広告配分を確認します。
マーケティング責任者は、有効反響率、予約率、来場率、キャンペーン別成果を確認します。
営業責任者は、初動時間、接続率、担当者別の停滞日数、次回アクション設定率、期限超過件数を確認します。
営業担当者は、今日連絡すべき顧客、希望条件、過去の接点、次回予定を確認します。
月次会議では、「SUUMOの反響が悪い」とまとめるのではなく、どの段階で顧客が減っているかを特定します。
反響数が維持されているのに来場が減っている場合は、掲載枠よりも初動や追客に課題がある可能性があります。
来場数が維持されているのに成約が減っている場合は、商品価格、競合、提案内容、担当者との相性などを確認します。
特定の担当者だけ成約率が低い場合も、営業能力だけで結論を出してはいけません。
担当件数、顧客の予算、商品、商圏、流入元、土地の有無などの条件をそろえて比較する必要があります。
6.自社集客を育ててポータル依存を下げる方法
自社サイトとSEO
ポータルサイトは、比較検討中の顧客との接点として有効です。
一方、自社サイトでは、自社の商圏や商品の特徴に関する具体的な疑問へ回答できます。
例えば、次のような検索テーマを扱います。
- 注文住宅と地域名
- 工務店と地域名
- 平屋と地域名
- 土地探しと地域名
- 住宅性能と地域名
- 完成見学会と地域名
- 建築費と地域名
- 住宅ローンと地域名
課題解決記事から、施工事例、商品ページ、スタッフ紹介、展示場、完成見学会、来場予約ページへ内部リンクを設けます。
評価するのは検索順位やアクセス数だけではありません。
記事から資料請求、LINE登録、来場予約、実来場、成約へ進んだ件数を確認します。
GoogleビジネスプロフィールとMEO
店舗や展示場ごとに、住所、電話番号、営業時間、カテゴリ、写真、イベント情報を整備します。
自社サイトの地域ページや展示場ページと、Googleビジネスプロフィールの店舗情報を一致させます。
電話、経路検索、サイト遷移、予約などの行動も確認します。
地域検索の順位は、主に関連性、距離、知名度など複数の要因で決まります。
MEOを実施したからといって、順位や来場数が保証されるものではありません。
InstagramやYouTube
SNSでは、施工事例、ルームツアー、スタッフ紹介、土地探し、資金計画、住宅性能など、住宅会社の特徴や考え方が伝わる内容を発信します。
フォロワー数だけで成果を判断してはいけません。
保存数、サイトへの遷移数、LINE登録数、来場予約数、実来場数、成約数まで確認します。
投稿ごとに識別できるURLや流入元情報を設定し、どの投稿が来場や成約へ貢献したかを追跡します。
LINEによる顧客育成
LINE登録後は、顧客の同意を得たうえで、希望地域、土地の有無、予算、入居希望時期、関心のある住宅などを取得します。
取得した情報に応じて、施工事例、見学会、土地情報、資金計画などを出し分けます。
返信や予約が発生した場合は営業担当者へ引き継ぎ、自動配信と個別対応が重ならないようにします。
配信頻度や配信停止にも配慮が必要です。
7.AIを活用できる業務
AIは、ポータル反響の管理や営業活動を支援できます。
具体的には、問い合わせ内容の分類、電話や商談内容の要約、顧客の行動に基づく優先順位の提案、次回アクション候補の提示などに活用できます。
媒体、商品、担当者別の停滞理由や失注理由を分析し、休眠顧客の中から再検討の可能性がある顧客を抽出する使い方も考えられます。
メール、SMS、LINEの文面作成を支援し、営業担当者の作業時間を減らすことも可能です。
ただし、AIを導入するだけで来場率や成約率が上がるわけではありません。
AIが判断するためには、顧客情報、接点履歴、来場結果、商談結果、次回予定などのデータが必要です。
対応履歴が欠けていれば、優先度や原因分析も不正確になります。
AIによる誤判定や不適切な文面の可能性もあるため、重要な判断や顧客への送信は人が確認します。
個人情報へアクセスできる担当者や、AIへ渡す情報の範囲も管理する必要があります。
8.実行手順
- SUUMOなど各媒体の改定前後の契約書と見積書を確認します。
- 過去12か月から24か月の反響を、流入元、店舗、商品、担当者別に集計します。
- 反響から接続、予約、来場、提案、申込、成約までを顧客単位でつなぎます。
- 反響単価、来場単価、成約単価、帰属粗利を算出します。
- 初動の遅れ、未対応、追客停止、来場前キャンセルなどの損失箇所を特定します。
- 自動受付、追客シナリオ、次回アクション期限、配信停止条件を設計します。
- 掲載枠の縮小、自社集客の強化、追客改善を小規模に実施します。
- 3か月から6か月後に、来場数、成約数、成約単価、粗利を比較します。
- 検証結果を基に、媒体ごとの広告配分を更新します。
9.失敗しやすいポイント
値上げ率だけで掲載を止める
値上げ後も成約単価と粗利が許容範囲なら、掲載を継続する選択肢があります。
月額費用の増減だけではなく、最終的な利益で判断します。
反響単価だけで媒体を評価する
反響が多くても、商圏外、予算不一致、連絡不能の顧客が多ければ、営業負荷が増えます。
有効反響、接続、来場、成約まで確認してください。
自社集客へ一度に切り替える
SEO、SNS、紹介施策は、成果が安定するまで時間がかかります。
ポータル掲載を一度に止めると、短期的に反響や商談が不足する可能性があります。
媒体別の採算を確認しながら、段階的に比率を調整します。
自動追客を一律配信する
顧客の希望時期や関心に合わない配信は、解除や不信感につながります。
返信、予約、来場、成約、配信停止が発生した場合に、自動配信を止める設計も必要です。
AIの評価をそのまま営業判断に使う
AIは入力されたデータを基に判断します。
対応履歴や顧客情報が不足していれば、優先度や原因分析も不正確になります。
判断根拠を表示し、営業担当者が確認できる状態にします。
担当者別の数字だけで評価する
成約率の差を営業担当者の能力だけで処理すると、本当の原因を見落とします。
担当している流入元、商品、商圏、予算帯、土地の有無、競合状況などを合わせて確認します。
導入前チェックリスト
- [ ] SUUMOなど各媒体の改定前後の費用を確認している
- [ ] 基本料金とオプション料金を分けている
- [ ] 反響単価だけでなく来場単価と成約単価を算出している
- [ ] 流入元と成約・粗利を顧客IDでつないでいる
- [ ] 有効反響の定義を社内で統一している
- [ ] 初回対応までの時間を計測している
- [ ] 未対応・期限超過を管理者が確認できる
- [ ] 電話に出なかった顧客への次回対応が設定されている
- [ ] 顧客の検討時期に応じた追客を用意している
- [ ] 予約・来場・成約・配信停止時の自動停止条件がある
- [ ] 自社サイト、SEO、SNS、LINE、紹介を組み合わせている
- [ ] 店舗、商品、担当者別に歩留まりを比較している
- [ ] 広告配分を見直す日と判断責任者を決めている
- [ ] AIの判断を人が確認する運用を決めている
- [ ] 個人情報へのアクセス権限を設定している
よくある質問
SUUMOの掲載費は2026年4月から一律で1.5倍になったのですか
一律で1.5倍になったとは確認できません。
約1.5倍は、三共コスモス株式会社が自社の負担増見込みとして公表した個別事例です。
契約商品、掲載枠、オプションなどによって影響が異なる可能性があります。自社に届いた改定案内、契約書、見積書を確認してください。
掲載料金が上がったらSUUMOをやめるべきですか
料金だけでは判断できません。
媒体別の来場単価、成約単価、粗利、営業工数を確認し、掲載継続、枠の縮小、商品や商圏の絞り込み、自社集客への再配分を比較します。
成約と粗利へ貢献している場合は、料金が上がっても継続する合理性があります。
ポータルサイトの反響は質が低いのでしょうか
ポータル経由だから一律に質が低いとは判断できません。
情報収集段階や複数社を比較中の顧客が含まれるため、すぐに来場しない場合はあります。
希望地域、予算、土地の有無、建築時期などを取得し、顧客の状況に合わせて追客する必要があります。
ポータルサイトに依存しない集客はどこから始めるべきですか
最初に、自社がすでに保有している反響と営業履歴を整理します。
そのうえで、自社サイトの地域記事、施工事例、来場予約導線、Googleビジネスプロフィール、SNS、LINE、紹介施策を段階的に強化します。
新規集客だけでなく、既存顧客の追客改善を同時に行うことが重要です。
CRMを導入すれば成約率は上がりますか
CRMを導入するだけでは成約率は上がりません。
顧客情報、営業プロセス、入力項目、対応期限、追客ルール、管理者の確認方法を設計し、実際に運用する必要があります。
導入後も、来場率や成約率を確認しながら改善を続けます。
PASSで支援できること
PASSでは、ポータル、自社サイト、展示場、紹介、SNSなどの反響を、一つの顧客・案件データへ集約する運用を支援します。
今回のテーマでは、次の機能が関係します。
- 流入元・キャンペーン別の反響管理
- 反響直後の自動受付
- 初動期限、未対応、停滞の警告
- 顧客状況に応じたメール、SMS、LINE追客
- 返信、閲覧、予約などの行動把握
- 営業担当者が今日対応すべき顧客の提示
- 返信、予約、来場時の自動追客停止
- 流入元、店舗、商品、担当者別の歩留まり分析
- 来場単価、成約単価、粗利の確認
- AIによる接点要約、停滞理由分析、次回行動支援
PASSの導入による成果を保証するものではありません。
まずは現在の顧客データ、反響から成約までの管理方法、初動時間、追客ルール、媒体別の広告費を確認し、効果を計測できる状態をつくることから始めます。
反響・追客・営業管理の課題を整理しませんか。
現在の集客経路と営業フローを伺い、仕組み化する範囲をご案内します。
PASSの導入・活用について相談する →